トキドキ☆パイレーツ ~海賊の雑記帳~

☆VPRO海賊団のメンバー☆ヨッチャンのブログ☆

☆ 海賊ヨッチャン物語 その4☆

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ラビアーナ地区 西の土地



「 名前を授かる旅へ 」

 

シェイクマリーンの町の外れ

 

ラビアーナ地区。

 

シェイクマリーンの町で

 

いちばん広大な敷地を持つ

 

鬱蒼とした山間部でもあり、荒涼とした砂漠地帯でもある。

 

東の土地には太陽の光を寄せ付けぬほどの樹海が広がり、

 

西の土地には草花が育つことが難しい

 

砂嵐が吹き荒れる砂漠地帯や切り立った岩山も多く点在する。

 

東の土地には湖があり、そこには小さな集落があった。

 

この湖のそばに

 

老人と一人の少年が住んでいた。

 

かつてこの集落には、たくさんの人が林業を主に営み、生活をしていたが、

 

いまでは、わずか数軒でしか人の気配を感じることができなくなった。

 

老人は炭焼きを生業としながら少年を育てていた。

 

かつて

 

老人は、集落の長でもあった。

 

老人の名前はチャンパー

 

少年にはまだ正式な名前がなかった。

 

この集落の掟で、まだ正式な名前をもらえていなかったからだ。

 

この集落には、かねてより大自然に宿る大精霊の掟が存在し、

 

大精霊によって人々が守られ、そして

 

大精霊により人々の生活する土地が決まり、

 

なによりも大精霊の指示に従い

 

、人々の名前をも大精霊に名付けられるという絶対的な風習があった。

 

 

 

チャンパー老人は、集落が人で栄え賑わっていた若い頃には、

 

村の長しかできない、大精霊の声を正しく伝える

 

お伝え人となり

 

古くから伝わる薬草を使った伝統的な治療や心の病いで悩む者のため

 

神秘的な儀式を昼夜を問わず開き、導き諭し生活の知恵を教えていた。

 

 

 この集落には

 

男女を問わず、生まれて15の歳を迎えれば

 

西の土地で、大精霊に出会い、これからの道をそして自分の名前を授かる

 

一人旅をしなければならないという掟があった。

 

大精霊に出会うまで、幾晩もの間、瞑想を行い、どんなに苦しくとも

 

たった一人で旅を続けなければならない。

 

もし旅を途中でやめれば即刻、村を出て

 

家族といえど

 

村の者と一切関わってはいけない掟があった。

 

大精霊は、姿は決まっていない。

 

時に強い雨であったり、

 

時に強い風であったりもする

 

そうかといえば

 

小さな小さなアリの姿でもあったりした。

 

 

 

自然の音が、心にそして身体中に

 

震えるほど響き渡ったときに

 

晴れて大精霊の声が聞こえてきて

 

これからの道を与えられ

 

名前を授けられ、そして道を与えられるのだった。

 

 

15の歳になるまでは

 

草花や動物の名前で呼ばれたり、生活の道具の名前から一文字分

 

消した名前を村の長に名付けられた。

 

この世に存在するものには、

 

すべて偉大なる精霊が宿っているということから

 

その偉大なる精霊の力を借りる意味で名前を付けられた。

 

村の言い方に変えれば、精霊の名前をお借りし自然と共に生きて

 

共に学ぶと言うことだ。

 

少年の名はヨーテという名を借り受けた。

 

ヨーテは、生れて間もない赤ん坊のころ森の中で拾われた。

 

竹で編んだカゴの中、シルクの生地に包まれて捨てられていたのだった。

 

森のコヨーテたちに襲われるところを間一髪、

 

偶然通りかかったチャンパーに助けられた。

 

少年はこうして

 

ヨーテの名をチャンパーから授かり

 

チャンパーとともに暮らし

 

幼い頃からチャンパーの手伝いをした。

 

やがて

 

15の歳を迎え

 

旅の支度を始めることになった。