☆海賊ヨッチャン物語 その10☆
「 再起動する心 」
少年ヨーテは、旅に出る前の晩に聞いた
育ての親チャンパーの言葉を思い出していた。
「もしお前が、窮地に立った時には、
迷わずこの言葉を唱えよ!!
たとえ
絶望に感じても
それは、おまえの今の心が思うだけで
これからのお前の心は、
変化するものだ
精霊さまのお力が、必ずやお前を助けるであろう
ただし、使う相手を憎んではいけない
お前が憎しみを抱けば、
相手の悪の心を増殖してしまうだけなのだ
呼吸を整え
無心になれ、ヨーテよ!!
全知全能の精霊様
が
お前を守る
精霊さまに、お任せをするのだ」
ヨーテは、
呼吸をすることを忘れていた口を
ゆっくりと息を吐き始めた。
「 おい!! きこえねえのか!!
さっさとよこしやがれ 」
少年は、男の声にかまわず目を閉じて息をゆっくりと吐きだした。
そして、静かに呪文を唱え始めた。
「 ビルモータ ル サ エスタリーラ フーディーガー スタラード 」
男は、口を開け
苦しみ悶えはじめた。
ヨーテが首に巻いている赤い守り袋が、
一段と熱を帯び光を放ち始めた。