トキドキ☆パイレーツ ~海賊の雑記帳~

☆VPRO海賊団のメンバー☆ヨッチャンのブログ☆

☆ 海賊ヨッチャン物語 その8 ☆

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【ルビアの想い】

自分自身の絵を描いてはいけない村の掟

絵の中で自分の魂が永遠にさまよって

しまうとの古い言い伝え。

ルビアはそれを知っていながら

自分自身の絵を描いて

ヨーテに渡した。

ルビアは

15になるのがとても怖かった。

なんにも知らない西の土地なんか絶対いきたくなかった。

正直、名前なんてどうでもよかったし、ルビアという名前がとても気に入っていた

できることなら

ヨーテと一緒に西の土地へ旅に出たかった。

ずっと、永遠にヨーテのそばにいたかった。
人間には、必ず死が訪れる。

ヨーテと同じ時間に一緒に死なないかぎり
ヨーテとは別れることになる。
自分がヨーテと別れることは耐えられない。

自分自身の絵を描いて、永遠に魂がさまようのならば

いっそのことお守りになってでも

ずっとヨーテのそばにいることが出来ることをルビアは決意したのだった。

ルビアは人目を忍んで

月が光りを照らす日を選び

湖の湖面に自分の顔を写し、

そして、ときに自分の身体を写し

一心不乱に絵を描いた。

夜中に一人、

湖へ向かう暗い道を歩くときは

不安と村の掟を破るという気持ちが

たびたび襲ってきていたのだが、

今は、ヨーテを一心に想う気持ちが
ルビアの心を落ち着かせていた。

ヨーテと魂を繋ぎたい

ずっと一緒にいたい。

激しい想いはルビアの描く絵に入っていった。

掟のまだなかった頃

いにしえ人によれば

猟や漁で

これから会えなくなる人に

自分の絵を渡して、万が一なにかあった時の場合に備え
身変わりにと自分を捧げる想いを込めたという。

いまルビアは

お守りのためというより

ずっと一緒にいたいという強い想いのほうが

勝っていた。

湖面に写る月の光りが

闇夜を消し去るように
輝き出し始めた。

ルビアを包んでいた、

オレンジ色に輝く

魂の光は

その月の光と一体となっていった。

絵にルビアの魂が宿った瞬間だった。

ルビアは

深く息を吸い込み

完成した絵に

息をそっと吹き掛けた。    

ルビアの絵は

それに応じるかのように
青い光を放ちながら

ふんわりとした熱をおびた。

ルビアはふっと力が抜け

前のめりに倒れそうになったが

どうにかそれに堪えた。

胸の奥で、

隠し事への罪の意識が

芽生え

そして

これまでこらえ続けてきた

村の掟への想いが

一気にこみ上げ

瞳の光を涙で溢れさせた。

ほほにこぼした涙も

そっと光を放った。